6月23日(水)、宮古市で開催された経営者セミナー&ルーキーズカレッジⓇの講師を務めました。
ルーキーズカレッジⓇは2017年よりはじまり、各地域の行政・商工団体・NPOの皆さんと行っています。
本事業が生まれた背景には、毎年採用活動を行わない地域の中小企業の構造的課題がありました。
小規模で採用も不定期なことから平均年齢も比較的高く、採用した新卒社員と既存社員の年齢が大きく離れていることも珍しくありません。親子くらい歳が離れている職場もあります。
先輩社員だけでなく同期がいないことで新人特有の不安や悩みも打ち明けにくく、上司や先輩社員が気を遣い「なんでも話して」といっても、やはり素直に吐露できない人も多いようです。
学びの機会という点で見てもOff-JTが充実している職場は少なく、自社で行う研修は事務的なものや職務に関連あるものが中心となりがち。外部に派遣する集合型研修を利用するケースではマナーや社会人の心構えなどが一般的で、同年代の繋がりをつくることを目的とすることは少なく感じます。
中小企業に勤める社員は大手企業と比べると3年以内の離職率が高いと言われますが、その解決に必要なものとして導き出したのが「繋がり」「学び」「将来(キャリア)」の三要素であり、提供機会としてつくったのがルーキーズカレッジⓇでした。
これまで宮古市、石巻市、最上地域、庄内地域、新発田市で開催し、継続してきている地域では地元就職率の向上や企業側の意識の変化なども表れてきています。
昨年度はコロナで延期、開催方法もオンラインとなったり、リアル開催ができても懇親会が実施できなくなるなど変化を強いられました。
そんななか、発祥の地でもある宮古ルーキーズカレッジⓇは1年間休止…約2年ぶりに対面での開催をすることができました。
今回のプログラムはコロナ禍による様々な変化に着目し、特にコミュニケーションの変化に伴う好影響と悪影響を学ぶ「With/Afterコロナのコミュニケーション」、互いを理解しながらコミュニケーション力を鍛える「インタビューワーク」、これからの時代の変化を捉えながら何を大事にして生きてくかを考える「キャリアデザイン」で構成しました。
毎回そうですが、最初は緊張の面持ちで参加している参加者も時間が経つにつれ会話が増えていきます。
終了後の参加者28名のアンケートも総じて高かったのですが、印象的だったのは継続的な参加意向だけでなく、後輩たちのためにも続けてほしいという声がいくつもあったことでした。
コロナ禍で当たり前と思っていたコミュニケーションの機会が制限されたことも大きいですが、研修自体彼らが会社から派遣されたものであり、決して好んで参加したものではなかったという点も考慮すると、この反応に開催の意義を感じた次第です。
企業側には定着支援と銘を打っていますが、個人的には数多ある選択肢のなかで、お世辞にも恵まれた環境とは言えない地域企業で働くことを選んでくれた彼らに「繋がり」「学び」「将来(キャリア)」を贈りたいと考え行っています。
ルーキーズカレッジⓇは企業に縛りつけるための研修ではなく、一人ひとりの人生のための研修です。
人生100年時代、いずれ転職や他の地域へ出ていくということも現実的にあるでしょうが、新卒で地元就職を選んだ選択を後悔してほしくない...そんな思いでこの事業を行ってきました。
継続的な開催による影響はまだ限定的で、積極的に送り出してくれる企業の皆さんも効果の実感も薄いかもしれませんが、いずれこの事業が展開されている地域では離職率や若者のUターン率の改善、ルーキーズカレッジⓇ参画企業の採用に差が出るような環境をめざしパートナーとなる皆さんと取り組んでいきます。
人への投資こそが社会の未来を変える。
私たちはそう信じて続けていきます。
※当日の様子が岩手日報にも掲載されました
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